「思い」の言葉
物を語る
2023-12-29
「とにかく聴くこと。その人の「物語」が
聴けるかどうか。物語が聴けるようになったら
クライエントは自分の力で治っていく。」
(京都大学名誉教授・山中康裕)
クライエントはセッションの場で
様々なエピソードのもと自分自身を
語っていきます。
それは、自身が抱える
不安や悲しみ
失望や孤独
憎しみや怒り
または
勇気や希望
そして未来…
カウンセリングの面接の場は
丁寧に語りを積み重ねると
それは、クライエントの「物語」と
なり、本来の自身の生きる姿、生きる様が
見えてきます。
そこから新たな
生きる「物語」が生まれてくることでしょう。
合 掌
本年もお世話になりありがとうございました。
皆様の幸多かれ事を御祈念致します。
良いお年をお迎え下さいませ。
尚、高野寺カウンセリング室は年末年始も
開室しています。
どうぞ、ご連絡の上ご来室下さいませ。
治す・直る
2023-12-05
精神科医は患者の話をよく聞き
こころの具合を理解して適切に
お薬を処方してこころを治していきます。
(薬物療法)
〈因みに精神科医が「5分診療」と揶揄され
たりしますが、3分から5分ぐらい患者の話を
聞くと、だいたいの今の症状が分かりそれに
適したお薬の診断が出来るのであって決して
医師の不誠実さ等という事ではありません〉
反対にカウンセリングは「治す」もの
ではなくクライエントが「直る」ものです。
「直る」とは、良好な状態に戻ると言う事です。
カウンセリングは
自己を見つめ自己を深めていきます。
そこでの中心はクライエントです。
何らかのカウンセラーの働きが
あったとしても
クライエントは自身を見つめ、その
治癒力によて自分を「直し」ていきます。
カウンセリングは
「治す」ものではなく「直る」ものなのです。
合 掌
語れない
2023-11-01
カウンセリングのセッションに於いて
クライエントは語ることの
出来ないことがあります。
語ることに対して…
勇気がいる
苦しくなる
怖い
語ってしまうと…
自分が壊れてしまう
自分が崩れてしまう
自分が自分で居られなくなる
しかし、カウンセリングの場は
クライエントが中心です。
語ることが出来なければ
語らなくて良いのです。
それは
語ることがクライエントの
為にならないからです。
語らなくてもこころが
回復したり元気になるのであれば
無理には語る必要はありません。
語ることの出来ないこころの機微の声を
聴いていくのがカウンセリングと言う物です。
合 掌
響く
2023-10-12
心理臨床のカウンセリングに
於いて大切にしていることは
「語る」と言う事です。
クライエントはあらゆる
自身を語っていきます。
悲しさ…
惨めさ…
苦しさ…
カウンセラーは、その語りを
自分の人間性や価値観を
出すことはなく
純粋に受け止めて聞いていきます。
そんな語っているクライエントは
ふと、自身が口にした言葉から
こころの「響き」に気づく
事が多だあります。
その「響き」は
心地よかったり…
深く感じたり…
自身を自身で癒やしたり…
その「響く」こころが
クライエントの支援に繋がり
カウンセリングの
醍醐味でもあります。
合 掌
読む
2023-09-02
「体がすこしらくになったら、本を読みなさい。
問題の多くは、自分だけの問題にとらわれすぎる
ところから生まれるものよ。
ろくでもないことは、いくら考えたって、
ろくでもないままだわ。本を読めば読んだだけ、
あなたはあなたから解放される」
(森絵都『ママ』より)
臨床心理学を学ぶ上で
よく言われることは
「一冊の専門書を読むよりも
十冊の小説を読みなさい…」
それは、様々な人の生き方に
触れると言う事であります。
所詮、人の生き方は自分の
生き方しか分からない…
しかし、小説を通していろいろな
生き方を学んでいく意味でもあります。
カウンセリングのセッションの場は
クライエントが現在、抱えている
心の重荷を通して、その人間の生き方を
見つめて探していくものでもあります。
人にはそれぞれの価値観、教育力、経済力が
存在します。
それだけに人それぞれ生き方と言う
物語も違います。
そこには答えの正解も不正解も違い
正しさも違います。
その答えを探しクライエントが抱える
重荷を解放する為にも
クライエントの物語〈本〉を共に
読んでいくのがカウンセリング於いての
一つの側面でもあります。
合 掌